
舞台ははるかな未来、何本ものパイプラインによって天上に繋ぎ止められている空中都市ザレムの真下には、このザレムから投棄されたゴミの山を囲むようにして広がるクズ鉄町がある。物語はこの絶望的に荒廃した街から始まる。
軌道エレベータの末端にぶらさがった格好のザレムの真下には、ザレムから排出されるゴミやスクラップが堆積して山をなしていた。クズ鉄町は、その名のとおりザレムの屑に群がるようにして集まった者たちが、スクラップを再生して利用し、独特の工業文化を支えていた。この世界には、その苛酷な生活環境によって狂ったように進化した、極めて高度なサイバネティクス技術が栄え、人体をサイボーグとして改造することが一般化していた。
ある日、クズ鉄町でサイボーグ専門医を開業しているイド・ダイスケは、スクラップの山から奇跡的に脳髄を良好な状態で保存している少女型サイボーグの上半身を掘り出す。彼女は頭部と胸部ぐらいしか残っておらず、イドの医療によって意識を取り戻しはしたものの、あまりに長い間の休眠状態からか、過去の記憶をすっかり失っていた。自分の名前もわからない状態なので、とりあえずイドは前に飼っていた猫の名前を拝借して彼女に「ガリィ」と名づけ、彼女の失われた体の代用品を与えて、育て始める。
イドは、温和で腕の良いサイボーグ技術者としての顔とは別に、闇夜にまぎれて犯罪者を狩る賞金首狩りとしての裏の顔も有していた。極めて治安の悪いクズ鉄町においては、ハンターウォリアーと呼ばれる賞金稼ぎのシステムがザレム直轄の治安維持機能の一環として設営されていた。その姿を見て、ガリィもハンターを志し、イドの反対を押し切ってハンターの一人として登録する。そんなガリィのもとには数々のトラブルが舞い込む。闘いになるたび、ガリィの脳裡にはなぜか隠された記憶の断片が甦り、彼女は実は火星に発祥した伝説の格闘技術「機甲術」--パンツァークンストの使い手であることもわかってきたが、その過去は益々謎の深遠に沈んでいく。
はたしてガリィの過去とは……そしてこの世界の成り立ちは……?
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